「いびきがひどいと指摘された」「寝ている間に呼吸が止まっているらしい」「日中にひどい眠気が取れない」そんな症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けることをおすすめします。
SASは放置すると高血圧や脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まるとされる疾患です。この記事では、SASの検査内容、費用の目安、病院の選び方、検査の流れまでわかりやすく解説します。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる(無呼吸)、または呼吸が浅くなる(低呼吸)状態が起こる疾患です。1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)によって重症度が判定されます。
- 軽症:AHI 5〜15回/時
- 中等症:AHI 15〜30回/時
- 重症:AHI 30回/時以上
診断や重症度の判定は医療機関の検査でしか行えませんが、受診前に病気の全体像を知っておくと、医師への相談内容を整理しやすくなります。一般向けの解説書も出版されています。
何科を受診すればいい?
SASの検査は以下の診療科で受けられます。
- 呼吸器内科:SASの診断・治療を専門的に行う科
- 耳鼻咽喉科:いびきや鼻の構造的な問題からのアプローチ
- 睡眠外来:睡眠障害全般に対応する専門外来
- 内科:かかりつけ医に相談して紹介を受けるルートも
記事執筆時点では「睡眠障害」が診療科名として正式に標榜可能になっており、「睡眠障害内科」など睡眠を専門とする診療科が増えてきています。

SASの検査の種類と流れ
STEP1:問診・初診
いびきの状況、日中の眠気、生活習慣、既往歴などを確認します。エプワース眠気尺度(ESS)という質問票で日中の眠気の程度を数値化することもあります。
STEP2:簡易検査(自宅で実施)
自宅で寝ている間に小型の検査機器を装着し、呼吸の状態や血中酸素濃度を測定します。
- 装着する部位:鼻の下(エアフローセンサー)、指先(パルスオキシメーター)など
- 所要時間:一晩
- 痛み:なし
検査機器は病院から貸し出され、自宅で普段通りの環境で検査できるのが大きなメリットです。
STEP3:精密検査(PSG検査・入院が必要な場合)
簡易検査で異常が見られた場合や、症状が強いのに簡易検査では結果が軽かった場合は、確定診断のために精密検査(ポリソムノグラフィー=PSG検査)を行います。
- 脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、いびき、体位、血中酸素濃度などを総合的に測定
- 基本的に一泊入院で実施
- 装置を体に取り付けた状態で一晩眠る
一泊とはいえ入院になるので、着替えや洗面用具などの持ち物が必要です。必要なものがひと通りまとまった入院準備セットを使えば、当日の荷造りで慌てずに済みます。持ち物の指定は医療機関ごとに異なるため、事前の案内も確認しておきましょう。
記事執筆時点の改定により、簡易検査でAHI 30以上であれば入院せず外来だけでCPAP治療を開始できるケースもあります。詳しくは受診先の医療機関に確認してください。
検査費用の目安(保険適用)
SASの検査はすべて健康保険が適用されます。以下は3割負担の場合の目安です。
簡易検査
3割負担で約3,000円前後。初診料を含めても4,000〜5,000円程度が目安です。
精密検査(PSG検査)
1泊入院の費用として、3割負担で約30,000〜33,000円前後が目安です。入院費や食事代が別途かかる場合があります。
その他にかかる費用
紹介状が必要な場合はその費用(数百円程度)がかかることがあります。また、検査後にCPAP治療を開始する場合は月額4,500〜5,000円程度(3割負担)の通院費用が継続的にかかります(記事執筆時点)。

病院の選び方
通いやすさで選ぶ
SASの治療(CPAP療法)は月1回の通院が基本です。自宅や職場から通いやすい立地の医療機関を選ぶと、治療の継続がしやすくなります。
オンライン診療への対応
記事執筆時点では、CPAP治療の定期受診はオンライン診療でも認められています。オンライン診療に対応している医療機関を選べば、通院の負担がさらに軽くなります。
精密検査の設備があるか
簡易検査だけで診断がつかない場合、精密検査ができる設備のある病院であれば、スムーズに検査を進められます。
SASの検査に関するQ&A
Q. 検査は痛い?
痛みはありません。簡易検査は小型のセンサーを体に装着するだけですし、精密検査も電極を体に貼り付けて眠るだけです。注射や採血のような侵襲的な処置はありません。
Q. 検査結果が出るまでどのくらいかかる?
簡易検査は1〜2週間程度、精密検査は2〜3週間程度で結果が出ることが多いです。医療機関によって異なるため、受診時に確認しましょう。
Q. 検査を受けたらすぐに治療が始まる?
検査結果でSASと診断された場合、重症度に応じてCPAP療法やマウスピース治療などの提案があります。治療開始のタイミングは医師と相談して決めます。
Q. 自覚症状がなくても検査を受けた方がいい?
家族やパートナーに「寝ているとき呼吸が止まっている」と指摘された場合は、自覚症状がなくても検査を受けることをおすすめします。SASの方は本人が気づいていないケースが多いです。

検査前に知っておきたいこと
セルフチェックリスト
以下の項目に3つ以上当てはまる場合は、SASの検査を検討する価値があります。
- 家族やパートナーに大きないびきを指摘されたことがある
- 睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことがある
- 朝起きたときに頭痛やだるさがある
- 日中に強い眠気を感じることが多い
- 夜中に何度もトイレに起きる
- 集中力の低下を感じる
- 高血圧や糖尿病などの持病がある
- BMIが25以上である
最後の項目のBMIは、身長と体重があれば自分で計算できます。体重の変化を継続して記録しておくと、受診時に医師へ伝える情報としても役立ちます。乗るだけで数値がアプリに残る体組成計を使っている方もいます。
エプワース眠気尺度(ESS)について
初診時によく使われるのが「エプワース眠気尺度(ESS)」という質問票です。日常のさまざまな場面(テレビを見ているとき、午後じっとしているとき、会議中など)で眠くなる度合いを0〜3点で自己評価し、合計点が11点以上の場合は病的な眠気の可能性があるとされています。
検査前の注意事項
簡易検査は自宅で行うため、普段通りの生活で問題ありません。ただし、検査の前日にお酒を大量に飲むと結果に影響が出ることがあるため、通常程度にとどめることが推奨されます。また、精密検査(PSG検査)の入院日は事前に予約が必要で、医療機関によっては1〜2ヶ月待ちになることもあります。
検査結果の見方
AHI(無呼吸低呼吸指数)の読み方
AHI(Apnea Hypopnea Index)は、1時間あたりに無呼吸や低呼吸が何回起きているかを示す数値です。この数値によってSASの重症度が判定されます。AHI 5〜15回で軽症、15〜30回で中等症、30回以上で重症と分類され、中等症〜重症の場合はCPAP療法の適応となるのが一般的です。
SpO2(血中酸素飽和度)の意味
簡易検査では指先のセンサーで血中酸素飽和度も測定します。正常値は96〜100%ですが、SASの方は睡眠中に90%以下まで低下することがあります。繰り返し低酸素状態になることで、心臓や血管への負担が蓄積するリスクがあります。
検査後の流れ
診断結果に基づく治療方針
検査結果でSASと診断された場合、重症度に応じて治療法が提案されます。中等症〜重症の場合はCPAP療法が第一選択となり、軽症の場合はマウスピース治療や生活習慣の改善が中心になります。肥満が原因の場合は減量指導も並行して行われることがあります。
定期的なフォローアップ
治療開始後も定期的に検査データを確認し、治療効果を評価します。CPAP療法の場合は装置が使用時間やAHIのデータを自動記録しているため、月1回の受診時にデータを確認しながら設定を微調整していきます。治療がうまくいっていれば、日中の眠気の改善や血圧の低下なども期待できます。
検査にまつわるよくある不安
簡易検査の機器が気になって眠れない場合
簡易検査の機器は小型で軽量なため、多くの方は装着したまま普段通り眠れます。ただし、初めての装着で気になって眠れなかった場合は、もう一晩検査をやり直すこともできます。医療機関に相談してください。
精密検査の入院が不安
PSG検査の入院は基本的に一泊だけです。夕方に来院し、機器を装着して就寝、翌朝機器を外して退院という流れが一般的です。検査中に看護師がモニタリングしているため、トラブルがあってもすぐに対応してもらえます。
電極を体に取り付けるため、前開きのパジャマだと着脱がしやすくなります。医療機関から貸出がある場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
仕事を休む必要がある?
簡易検査は自宅で行うため仕事を休む必要はありません。精密検査は一泊入院が必要ですが、夕方入院・翌朝退院のスケジュールが多いため、半休や有給を1日取れば対応可能です。
検査費用は医療費控除の対象になる?
SASの検査費用は医療費控除の対象になります。年間の医療費が一定額を超える場合は、確定申告で控除を受けられるため、領収書は保管しておきましょう。
CPAP治療に進むと通院が毎月続くため、領収書の枚数も増えていきます。医療費用に1冊ファイルを分けておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。
SASの検査は家族にも知ってほしい
SASは本人が気づいていないケースが非常に多い疾患です。家族やパートナーが「呼吸が止まっている」「いびきがすごく大きい」と感じたら、それは検査を受けるべきサインです。SASの検査について家族同士で話し合い、早めの受診を後押しすることが大切です。特に中年以降の男性や、肥満傾向のある方はリスクが高いとされているため、家族からの声かけが受診のきっかけになることも少なくありません。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査は、自宅でできる簡易検査と入院で行う精密検査(PSG検査)の2段階があります。費用は保険適用で、簡易検査は約3,000円、精密検査は約30,000〜33,000円が目安です(3割負担の場合、記事執筆時点)。
受診先は呼吸器内科、耳鼻咽喉科、睡眠外来、またはかかりつけの内科に相談するのがスムーズです。いびきや日中の眠気が気になる方は、まず簡易検査から始めてみてはいかがでしょうか。
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